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宿命のライバル対決史「フォルティウスとロコ・ソラーレの軌跡」メンタルコーチはあの人

北海道のカーリング界を牽引し、日本の女子カーリングを世界レベルへと押し上げた二つの名門チーム、フォルティウスとロコ・ソラーレ。彼女たちの間には、単なるライバル関係を超えた、熱いドラマがあります。今回は、両チームの誕生から現在に至るまでの軌跡を辿り、数々の名勝負や選手たちの想いを紐解いていきます。

北海道と北見:それぞれの地で生まれた強豪

フォルティウスは、北海道銀行女子カーリング部として創設され、長年にわたり日本の女子カーリング界をリードしてきました。一方、ロコ・ソラーレは、カーリングが盛んな街、北見市を拠点に活動を開始。地域に根差した活動が、多くのファンを生み出してきました。異なるバックグラウンドを持つ両チームが、やがて日本の頂点を争うライバルとなるとは、当初誰が想像したでしょうか。

「道銀フォルティウス」から「フォルティウス」へ:チームの変遷

フォルティウスは、長年「北海道銀行フォルティウス」として活動していましたが、2022年に新たなスポンサーを迎え、「フォルティウス」として再スタートを切りました。この変遷は、チームにとって大きな転換期となり、新たな挑戦への幕開けとなりました。チーム名が変わっても、彼女たちの目指す場所は変わりません。常に高みを目指し、進化を続けています。

フォルティウスメンバー紹介

現在のフォルティウスは、以下の6名のメンバーで構成されています。

  • 吉村紗也香(スキップ): チームの司令塔。冷静な判断と正確なショットでチームを牽引します。卓越した技術とリーダーシップでチームをまとめます。
  • 小野寺佳歩(サード): 長年チームを支える中心選手の一人。正確なショットと安定したパフォーマンスが持ち味。経験豊富なベテランとしてチームを支えます。
  • 近江谷杏菜(セカンド/リード): 器用でユーティリティ性の高い選手。セカンド、リード両ポジションをこなせる貴重な存在。力強いスイープと正確なショットでチームに貢献します。
  • 小谷優奈(リード): 精度の高いショットと力強いスイープでチームを支えます。チームの土台を支える重要な役割を担います。
  • 小林未奈(リザーブ): 高い技術と安定したショットが持ち味。重要な局面で的確な判断を下します。
  • 船山弓枝(コーチ): オリンピック 出場3回。2児の母。フォルティウス結成メンバー。

メンタルコーチ 白井一幸氏の存在と経歴

フォルティウスの強さを語る上で欠かせないのが、メンタルコーチの白井一幸氏の存在です。元プロ野球選手という異色の経歴を持つ白井氏は、選手たちのメンタル面をサポートし、試合でのパフォーマンスを最大限に引き出す役割を担っています。

白井一幸氏は、香川県出身で、駒澤大学を経て1983年のドラフト1位で日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)に入団。俊足巧打の二塁手として活躍し、1991年には打率.311でリーグ3位、最高出塁率とカムバック賞を受賞するなど、輝かしい成績を残しました。

現役引退後は、ニューヨーク・ヤンキースへのコーチ留学などを経て、日本ハムファイターズのコーチ、カンザスシティ・ロイヤルズの特別コーチ兼スカウトアドバイザー、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)のコーチなどを歴任。

その後は、野球解説や講演活動などを中心に活動していましたが、2020年にフォルティウスのメンタルコーチに就任。長年のプロ野球界での経験を活かし、選手たちのメンタル強化に取り組んでいます。プレッシャーのかかる場面での心の持ち方や、チームの一体感を高めるための取り組みなど、白井氏の指導はフォルティウスの強さを支える大きな要因の一つと言えるでしょう。

2023年のWBC日本代表ヘッドコーチでは、世界一に大きく貢献し、知名度も上がりました。

ロコ・ソラーレの躍進:オリンピックメダル獲得の衝撃

ロコ・ソラーレの躍進は、日本のカーリング界に大きな衝撃を与えました。特に、平昌オリンピックでの銅メダル獲得、そして北京オリンピックでの銀メダル獲得は、多くの人々に感動を与え、カーリング人気を大きく高めるきっかけとなりました。彼女たちの活躍は、フォルティウスにとっても大きな刺激となり、互いを高め合う関係を築いていく上で重要な出来事でした。

初めての対戦:若き才能の激突

吉村紗也香さんと小野寺佳歩さんは、ロコソラーレの藤沢五月さん吉田知那美さん鈴木夕湖さんと同学年です。中学・高校時代に競い合っていました、まだ互いに若く、可能性に満ち溢れていた頃で、同じチームメイトの時期もありました。やがて、切磋琢磨していく関係となっていきます。初めての対戦は、後の数々の名勝負の序章に過ぎませんでした。

記憶に残る名勝負:北京オリンピック代表決定戦

数々の名勝負の中でも、特に記憶に残るのは、2021年に行われた北京オリンピック代表決定戦です。フォルティウスとロコ・ソラーレは、代表の座をかけて激しい戦いを繰り広げました。最終的にはロコ・ソラーレが代表の座を掴みましたが、両チームの意地とプライドがぶつかり合う、まさに死闘とも言える試合展開は、多くのカーリングファンの心を掴みました。この試合は、両チームのライバル関係を象徴する出来事として、今でも語り継がれています。

吉村紗也香と藤澤五月:ライバルであり盟友

フォルティウスのスキップ、吉村紗也香さんと、ロコ・ソラーレのスキップ、藤澤五月さんは、ライバルでありながら、互いを認め合う盟友でもあります。彼女たちの存在は、両チームのライバル関係をより一層特別なものにしています。

切磋琢磨が生む高み:日本カーリング界のレベル向上

フォルティウスとロコ・ソラーレの存在は、日本カーリング界全体のレベル向上に大きく貢献しています。互いに競い合い、高め合うことで、日本のカーリングは世界と戦えるレベルへと成長しました。

2025年日本選手権への展望

2025年の日本選手権では、フォルティウスとロコ・ソラーレの対決が再び注目を集めることは間違いありません。両チームはこれまで培ってきた経験と技術、そしてメンタル面での強化を武器に、頂点を目指して戦うことでしょう。特に、フォルティウスは白井コーチの指導のもと、メンタル面での更なる成長が期待されます。過去の対戦成績や両チームの状況、そして近年台頭してきたSC軽井沢クラブ女子の存在を考慮すると、三つ巴の激しい戦いになる可能性も十分にあります。だからこそ、この戦いから目が離せないのです。

それぞれの未来:世界を見据えるライバルたち

現在も、フォルティウスとロコ・ソラーレは、それぞれの目標に向かって進化を続けています。彼女たちのライバル関係は、これからも日本のカーリング界を盛り上げ、更なる高みへと導いていくでしょう。

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